個人間ネット送金、米で急拡大 銀行や新興企業がしのぎ

個人間ネット送金、米で急拡大 銀行や新興企業がしのぎ 簡便・無料で若者から浸透 という記事がでています。

米国では、このような送金を「ピア・トゥー・ピア(P2P)送金」と呼び、ベンモなどが先行しているそうです。

紙の新聞だとこの隣に「日本、普及はこれから」という記事がつきます。割り勘アプリがあること、楽天銀行では、FBを通じて送金できること、などがふれられています。そこで、お約束の「現金信仰根強い」ので、普及は、もっと先だろうという評価が出てきます。

まずは、LINEペイにきちんと取材しましょうという話があるかと思いますが、それは、さておき、まず、P2P送金というのは、実は、新聞の見出しを賑わすほどには、あまり利用機会がないのではないか、という感じがしています。

そして、ATM送金(他の国だと、どのくらいやっているのでしょうか)が、それなりに使えるので、そんなに不便に思われないというのが、実際なのではないでしょうか。岡田先生のコンジョイントでP2Pの送金機能は、あまり重要度が高くなかったとでたような記憶があります。(新規技術が認容されるための仮説というのは、岡田先生のお得意ね-TAMとかは嫌いだけど、使えるよねと)

小切手で送っていたら、アプリは欲しいでしょうけど、ATMで送れていたらね、そんなに必要だとおもわないんだよね、というところではないでしょうか。ただ、個人的には、チャットでの送金サービスというのは、おもしろいと思っているので、まさに、LINEペイが、どうなの?というのは、興味があります。

「QRコード決済・モバイル決済の利用実態と今後の利用意向に関する調査」の発表

デロイトさんから「QRコード決済・モバイル決済の利用実態と今後の利用意向に関する調査」の発表 というプレスリリースがでています。

電子マネーについて、同種の実験をしたものとしては、興味深いものです。(情報処理推進機構「「eIDに対するセキュリティとプライバシに関するリスク認知と受容の調査」」報告書(平成22年7月発表)

ただし、プレスリリースのみでは、実験の設計や実験の目的が見えない調査に思えます。たとえば、TAMのようなモデルをたてていたのか、とか、どのような仮説があったのか、とかが、よくわかりません。

そこで自分だったらどうい実験の設計をするのか、考えてみました。 QRコード決済・モバイル決済については、今後、きわめて重要なものになるかとおもいます。特に個人的には、メッセンジャー(LINEも含みますが)のプラットフォームと決済の嗜好というのは、実験のしがいがあるように思えます。メッセンジャーのなかだけで、ミニweb的(チャットボットのボタン式みたいなものね)になってそのなかですべてサービスが完結するというのは、今後の方向性としてイケていると考えているので、そのための決済の設計をしなければならないというのが、基本的な調査の動機なハズです。(それを認識できていないとしたら、世界が読めていないとおもいます)

ミニwebで決済するときに、そのプラットフォーマーの決済手段を利用させるというのは、きわめて合理的な経済戦略なので、それを使わせるために商品の見せ方・価格・ポイント戦略をどうするのか、また、販売企業からするときに、どのようなプラットフォームに出品するのか、ということを決めるデータが欲しいはずです。

ここまでくれば、実験を設計できますね。

たとえば、
(1)FBのメッセンジャー、スカイプのメッセンジャー、LINEは、それぞれ、どれが魅力があるのか。
(2)ライバルのプラットフォームに打ち勝つには、決済システムは、差別化の魅力になっているのか。
(3)セキュアプラットフォームは、プラットフォームの魅力になっているのか。
(4)P2P決済の魅力(相互流通性)は、電子マネー(支払い手段性)において、どれだけの魅力になっているのか
という点についてそれぞれ仮説をたてて、それを検証していくとおもしろい調査になったような気がします。(私だったら、質問紙法とコンジョイントを使いますね)

これだったら、いろいろいと売り込めそうに思えます。デロイトさん、お仕事お待ちしています。

GDPR対応メモ 29条委員会のガイドライン一覧

GDPR対応のために、ちょっとメモを作りました。特に、29条作業委員会のガイドラインのドキュメント番号を付してみました。(本家のニュースルームですが、ちょっと見にくいのは、こちら

テーマというのは、英国の情報コミッショナーの「GDPRの概要(Overview of the General Data Protection Regulation (GDPR))」をもとにまとめてみました。EU域内でも大変なことになっているので、いままで、あまり考えていなかった日本の会社さんも大変なことになっているのではないかと考えてしまうところです。

日本企業さんだと、この表に影響度と書いておいたのですが、2018年5月25日の効力発生日にむけて、それまでに対応しなければならない緊急性、従来の指令/国内法体制からみたときに新たな規制となる可能性の高い新規性、日本企業において特に配慮すべきもの要配慮性、の観点から、影響の高い点から、確認をすすめていくということになるかとおもいます。(以下の表で高とつけたのは、あくまでも私の感覚です。)

 

テーマ 具体例 影響度 Art.29 WP
原則 個人の権利/個人データの移転禁止が原則から削除(6原則に)
アカウンタビリティの原則が追加 WP260
考慮すべき重要なエリア 適法な取扱
同意 WP259
児童の個人データ
個人の権利 情報を提供されるべき権利
アクセス権
訂正権
消去権
取扱制限権
データポータビリティの権利 WP242
異議権
自動化された意思決定およびプロファイリングに関する権利 WP251
説明責任およびガバナンス 原則の意義
取扱の記録
データ保護バイ・デザイン
データ保護インパクト評価 WP248
データ保護責任者(オフィサー) WP243
行動規範と認証メカニズム
データ侵害通知 概念、監督機関への通知義務の発生、個人への通知の要否、通知方法、準備 WP250
データ移転 移転の概念
十分性の概念 WP254256257
保護措置に基づく場合
国ごとの適用免除規定 実施法等との関係
処罰の額の大きさ 世界の売り上げの4パーセント など WP253

なお、その他の注目すべき29条委員会のドキュメントとして、LSA(wp244)があります。

 

 

内部通報保護、役員・退職者も 消費者庁、対象を拡大 不正の放置防ぐ

「内部通報保護、役員・退職者も 消費者庁、対象を拡大 不正の放置防ぐ」という記事がでています

ポイントは、消費者庁が、「内部通報制度を強化し、不正を告発しやすい体制を整える。」ということで、そのために、
通報者が嫌がらせなどの不利益を被らないよう、法律で守る対象を現在の従業員から「役員」「退職者」に広げる。
行政機関向けの告発を一元的に受け付ける窓口を同庁に置く。
内部通報は相次ぐ国内メーカーの不正で注目を集めており、体制の充実で迅速に対処し、不正の放置を防ぐ。
ということだそうです。

2017年は、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン 」が改正されて(厳密には、2016年12月)、それに対する対応が説かれていたところですが、さらなる強化がうたわれることになりそうです。

この記事が、具体的にどのような内容につながっていくのか、注目したいところです。特に、内部通報を契機としての不正調査は、実務的にも、デジタル証拠に対するドキュメントレビューを利用した調査などとも深く関連するところがあります。

規約変更によりGeForceのデータセンター利用を制限

「NVIDIAが規約変更によりGeForceのデータセンター利用を制限」という記事がでています。

ここで、「これはNVIDIAの独占的地位を利用した、明らかな地位の濫用と言えます。」という記載があります。これを、思考実験として、わが国の独占禁止法的にどのように考えるのか、ということを考えてみましょう。
ここで、「独占的地位の濫用」といっているので、多分「優越的地位の濫用」といわれている規定を意図しているのでしょうから、具体的に、独占禁止法をみてみましょう。
同2条9項6号ホは、「前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの」となっていて、この趣旨は、具体的には、課徴金対象として、別個の条文で規制されることになった
「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。」
という規定(同法2条9項5号)

一般指定13項(取引の相手方の役員選任への不当干渉)
「13 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、取引の相手方である会社に対し、当該会社の役員(法第二条第三項の役員をいう。以下同じ。)の選任についてあらかじめ自己の指示に従わせ、又は自己の承認を受けさせること。」
にその趣旨が表れています。(あとは、特殊指定として、新聞業特殊指定、物流特殊指定、大規模小売業特殊指定ですね。)

でもって、この「優越的地位の濫用」については、いろいろな解釈論が、でています。個人的には、世界的な解釈とできる限り合わせるようにして、市場におけるドミナントポジションの濫用のうち、典型的な行為を定めたと解しています。それはさておき、ライセンス契約の条項の変更について、解釈論としては、上の条項のどれに当てはまるのか、という問題になりますね。条項としては、「取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し」に該当するというのでしょうかね。
そうはいっても、「相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に」というのは、どういう意味なのか、ということになります。

構成取引委員会のガイドラインをみてみましょう。「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方 」があります。

ここでのポイントは、「取引の相手方との関係で相対的に優越した地位であれば足りる」という解されていること、そして、それは、「乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合」となり、それは、「乙の甲に対する取引依存度,甲の市場における地位,乙にとっての取引先変更の可能性,その他甲と取引することの必要性を示す具体的事実を総合的に考慮する」ということになりますね(同ガイド4頁)。

そうなのと、やっぱりここでも、市場というのが、ポイントになるかとおもいます。「廉価なAI計算に特化したGPU」市場とかがあれば、その市場において、Nvidiaは、優越した地位をもっているのかもしれませんが、実際の判断としては、それは、困難であるようにおもわれます。市場の考え方については、このブログ(市場とその画定)でふれています。(市場の画定は、非常に困難な作業なのですが、現時点では、せいぜいGPU市場というのが通常かとおもいます)

そうだとすると、通常の考え方をすれば、当該市場において、Nvidiaは、優越した地位を有しているわけではないので、特に、その濫用といわれるようなことはしていない、ということになるかとおもいます。

ガイドラインに書いてありますが、「事業者がどのような条件で取引するかについては,基本的に,取引当事者間の自主的な判断に委ねられるものである。取引当事者間における自由な交渉の結果,いずれか一方の当事者の取引条件が相手方に比べて又は従前に比べて不利となることは,あらゆる取引において当然に起こり得る。」ということになります(2頁)。優越的地位の濫用は、その市場における市場力を濫用して、競争を減殺するのを防止するための制度であって、具体的な契約条件の変更が、資金のない「かわいそうな」弱小当事者を助けるための制度というわけではないということかとおもいます。

予測的タグ付けのメモ その1

ドキュメントレビューにおいて予測的タグ付け(Predicitive Coding)を利用して、レビューをした場合に、具体的な進行に関する判断との関係で、統計学の用語についての一定の理解が必要になるので、きちんと再度、調べてみました。(とりあえず、教科書をみながらの復習ですので、間違っていたら、お許しください)

ちなみに、予測的タグ付けというのが何かということになりますが、”Predictive Coding for Dummies”という本がrecommindからでていました。それで勉強しました。あと、特許もでています(US7933859 B1)。

まずは、最初に、ドキュメントレビューの対象となるすべてのドキュメントは、統計学的にみるときに、母集団になります。母集団は、英語では、populationといいます。定義としては、「調査する人が関心を持っている測定値すべての集合」ということになります。でもって、universeという表現もあるそうです。ドキュメントのユニバースとかいうと、広大な空間に、いろいろなドキュメントが散らばっている絵が思い浮かびそうです。それが時には、密接につながっていたり、バラバラだったり、おもしろそうです。

実際のレビューの結果というのは、

NO Responsive issues0 Issues1 Privilege Hot Comments
PEG0001 1 0 1 1 0 1

みたいなデータセットとして現れるので、レビューというのは、何万、何十万というドキュメントについて、このようなデータを収集していく作業として考えることができるわけです。

でもって、予測的タグ付けは、なにをするかというと、最初に標本を作るわけです。サンプルといったほうが、理解しやすかったりします。学術的には、標本は、「母集団から選ばれた測定値の部分集合」といわれます(ビジネス統計学23頁)。

実際の作業は、システムのほうで、無作為に標本を作成してくれて、それを実際にタグ付けしていきます。タグ付けというのは、レビューのソフトウエアを利用して、具体的なドキュメントに対して、関連性の有無、ホットか否か、非開示特権があるかどうかなどをレビューの仕様に準拠しながらなす作業のことをいいます。(具体的なワークフローは、次に検討します)

このときに、サンプルを作るときに、用語として出てくるのが、「信頼区間の95%のサンプルセットを作りましょう」というような用語になります。ドキュメントの全体集合(universal set)から、標本空間(sample set)を作っていくということなるだろうとおもいます。
標本空間というのは、「所与の試行に関連する全体集合Sである」と定義されるそうです。

ここで、たとえば、関連性あり(Responsive)のデータを考えた場合に、サンプルにおけるResponsive数は、母集団におけるResponsive数と、どれだけのぶれるのかというのが関心事項になります。サンプルが多ければ、多いほど、母集団の数と一致する可能性は高くなるでしょうし、その一方で、少なくても、結構、近くなりそうな感じもします。

ここで、標本空間からえられた統計量を考えることができます。要は、10万のドキュメントについて、400のサンプルをとって、関連性ありかどうかを調べました、そのうち、32が、関連性ありと判断された、ということが実際の作業になります。

このサンプルのうち、たとえば、関連性ありと判断された割合は、8%ということになります。標本からの関連性ありとされる数値の平均は、0.08ということになりますね。業界的には、ドキュメントのRichnessもしくはPrevalence(医学的には、有病率、罹患率だそうです)といわれます。

これは、統計的にみるとき、このリッチネスは、標本から計算された尺度(基本統計量-推定量 estimator)という用語になるわけです。では、全体ではどうかというと、全体での尺度(統計量)も考えることができます。これは、母数(population parameter)ということになります。

400というのが標本数(n)のうちグループに属する要素の数(x)が32の場合には、このサンプルの標本比率(sample proportion-)は、 0.08ということになりますというような表現になるかとおもいます。この場合に、全体の母集団が、10万ドキュメントだとわかっている場合には、全体で、関連性ありのドキュメントがどのくらいあると考えたらいいでしょうか、という問題になります。

ここで、標本を作成することを、一つの試行と考えれば、その場合の標本における関連性ありのドキュメントの数は、その試行における結果と考えることができます。
たとえば、上の令で、400のサンプルをとって、調べてみたときに、そのサンプルのとり方によって25しか関連性ありが見つからなかった場合もあるでしょうし、50ほど見つかることもあるでしょう。100見つかることはというと、あまりなさそうです。(この場合に、サンプルをどのようにとるか、という問題が出てくるのは、この例から、容易に気がつくかとおもいますが、この点については、また別の機会にふれましょう)。

関連性ありの数(400サンプル中) 関連性ありの割合
25 0.0625
32 0.08
50 0.125

ところで、同じ標本数(ここだと400ですが)を無作為に何回か作成して、関連性ありの数を調べると上のような表を作ることができるわけです。

でもって、実際には、10万の母集団には、8000関連性ありのドュキメントがあった場合(いわゆるリニアレビューをすれば、みんなわかる)とすれば、この何回かの標本(400サンプルの場合)のチャレンジにおける関連性ありのドュキメントは、32 を中心として確率として分布するということがわかりますね。

統計学的には、「特定の母集団からおおきさnの標本を作成するとき、確率変数Xがとりうる値の確率分布」をXの標本分布といいます。

ここで、「サンプルが多ければ、多いほど、母集団の数と一致する可能性は高くなるでしょうし、その一方で、少なくても、結構、近くなりそうな感じもします。」と感想めいたことを書いていましたが、統計学としては、これが中心極限定理といわれています。ビジネス統計学241頁)。

中心極限定理(The Central Limit Theorem)

中心がμ、表現偏差がある有限の値σという母集団から標本を作成するとき、標本平均Xの標本分布は、標本数nw 大きくなるにつれて、平均μ、標準偏差の正規分布に近づく

だそうです。

上の例で、400のサンプルセットをとって調査した場合に、32の関連性ありという結果が得られたことになった場合には、分布の標準偏差がわかれば、どのくらいの確率で、母集団に、どのくらいの関連性ありの文書があるのかということを語ることができます。

ここで、信頼区間という用語がでてきます。

信頼区間(confidence interval)とは、未知の母数をその範囲内に含んでいると考えられる数値である。区間には、その区間が実際に対象となる母数を含んでいることに対してどの程度信頼できるか(確信がもてるか)を示す値が同時に示される

となります。ある程度のサンプルセットを作ると、たとえば、95%の信頼度で、母集団の関連性ありのドキュメントの総数は、[7760,8240]の区間内にあると確信している、という様な表現ができるようになるわけですね。[7760,8240]の区間内という様な表現をしましたが、これが、マージンエラーという表現でいわれます。

e-residentになりました。

2016年にCyConで、e-Estoniaの紹介をみたり、同年のCodeBlueで、e-Estoniaをわが国で紹介するのにお手伝いをしたりととかで、e-Estoniaとは、何かをご縁があるのですが、そのコアサービスのe-Residencyを取得しましたので、ちょっとメモです。

エストニア大使館で12月5日にもらってきました。

 

 

 

 

 

 

 

でもって、カードは、こちら。(ホルダーつきの写真は、こちら)

カード自体は、こんな感じです。(ちなみに、チップは、前の月に事件があった関係で、新しいのに変わったそうです)

 

 

 

 

 

e-Residencyでできることといえば、まずは、最初に会社をつくらないといけませんね。IT Research Art Europeでしょうか。考えてみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベネッセ情報漏洩事故最高裁判決にみる 情報セキュリティへの示唆」の記事

「ベネッセ情報漏洩事故最高裁判決にみる 情報セキュリティへの示唆」という記事がでています。

この記事のポイントは、最高裁判所は、「「プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待」が裏切られたのかどうか、それを審理しなければならないところ、それが足りていない」と判断していると読んでいるところですね。でもって、どうも、この表現に違和感を感じたので、その違和感を考えてみました。

高裁の判決文が、私の手元にはないので(と最初は、書いたのですが、よく考えてみたら、NBL1109号 5ページにあります。)、


通常は、「行為」「結果」「因果関係」「責任(注意義務とその懈怠)」という各論点について論じられることになります。

(以下、修正加筆 1903  Dec.3 )NBLをみると、大阪高裁 平成28年6月29日は、「本件個人情報が控訴人のものであるか(争点(1)および本件漏えいによる控訴人の損害(争点(3))について」ということで判断しています。

原文では、「そのような不快感や不安を抱いただけでは、これを被侵害利益として、直ちに損害賠償求めることはできないと解するのが相当である。

本件においては、本件漏洩によって項訴人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被った名、上記の不快感や不安を超える損害を被ったことについて主張、立証はない。

したがって、項訴人が被控訴人似たいして損害賠償を求めることはできないというべきである」

以上によると、争点(2)について、判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がない」

という判断です。

ここで、注目するのは、「争点(2)について、判断するまでもなく」というところです。NBLでは、争点(2)が書いていないのですが、流出が過失に因るのか、あたりかと思っています。

—加筆終了–

だとすると、最高裁のポイントは、「結果」について、具体的なプライバシ侵害の結果をみることなく、抽象的な漏洩の事実のみで、結果としていいよ(争点(3)は、認めていいよ)という判断をしたものになります。
「本件個人情報は,上告人のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきであるところ(最高裁平成14年(受)第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照),上記事実関係によれば,本件漏えいによって,上告人は,そのプライバシーを侵害されたといえる。」というのは、そのことをいいます。

ところで、「「プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待」が裏切られたのかどうか、それを審理しなければならないところ、それが足りていない」という表現は、上の要件論でいえば、「責任(注意義務とその懈怠)」のところでの議論になります。

–加筆–

もし、争点(2)が、過失の判断であったとすると、実は、「「プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待」が裏切られたのかどうか」という点については、判断が「足りていない」どころか、全くなされていないということになります。

—加筆終了–

しかしながら、本件は、「結果」についての主張・立証がされていないので、「責任(注意義務とその懈怠)」を論じるまでもない、として棄却している案件です。情報の管理レベルについて、という論点は、判断しないよとした案件になります。
「「プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待」が裏切られたのかどうか、それを審理しなければならないところ、それが足りていない」という表現は、「責任(注意義務とその懈怠)」まで、判断がたどり着いていることを前提とした表現に思えます。それが、最初に読んだときに違和感を感じた理由ですね。

Legal Design Labo v. リーガル・デザイン・ラボ

デザインといえば、第1回から欠かさずみているプロジェクトランウェイもシーズン16になるんですね。シーズン16は、すごいことが起きるようなので、お楽しみに。(ネタばれになるので、Runwayのtwitterは、みないほうがいいかも)
(お気に入りは、オースティン・スカーレットクリスチャン・シリアーノね)

さて、ちょうど、「デザイン」と法律と技術が、ちぇうど、それぞれのドットがみずからつながりだしたかのように、いろいろいな動きが、世界的に、シンクロしだしているようです。

まずは、メインストリームでのお祭りまっさかりのGDPRですが、そこでも、デザインが、情報の非対称性を修正するツールとして注目されているということができるとおもいます。
具体的には、
前文の60条は、「個人データがデータ主体から収集される場合、そのデータ主体は、彼または彼女がその個人データの提供を義務づけられているのか、否かについて、および、彼または彼女がそのデータを提供しない場合に生ずる結果についても情報の提供を受けるものとしなければならない。その情報は、容易に死人することができ、わかりやすく、明確に理解することのできる方法によって予定されている処理の意味ある概要を提供するための標準的なアイコンと組み合わせて提供することができる」
としていますし
前文の166項は、「この規則の目的を充足するために、すなわち、自然人の基本的な権利および事由、とりわけ、自然人の個人データの保護の権利を保護し、かつ、押収連合内における個人データの支障のない移転を確保する米に、TFEUの290条による行為を採択する権限が欧州委員会に委任される。とりわけ、認証方法の基準および要件、標準的なアイコンによって表示されるべき情報およびそのアイコンを提供する手続に関して、委任された行為が採択さなければならない」
とされています。

アメリカ的には、スタンフォード大学のLegal Design Labo のプロジェクトが気になりますね。(ドットをつなげるの聖地ですね)

技術・法・デザインがシンクロしているミッション(左ね-LDLのページから)は、デザインの重要性をリマインドさせてくれるかとおもいます。
それこそ、GDPRのアイコンを作ってしまいましょうというプロジェクトもあります。

視覚的な情報によるコミュニケーションによって法的なコミュニケーションがどのような影響を受け、どのように改善されるのかについての考察のプロジェクトということができるよう思えます。法律家が、あまりにも言語コミュニケーションに頼りすぎているので、視覚的なコミュニケーションの役割の重視というのは、非常に注目されますね。

とあるところで、ナッジを正確に、かつ、強力が働かすための手段、という観点からデザインを整理できるのではないか、という話をしたのですが、まさに、そのようなアプローチにつながります。

日本的には、ちょっと文脈が異なりますが、SFCのリーガルデザインラボという動きがあります。趣旨自体は、法制度が社会をコントロールするもので、それは、デザインでしょうというもののようです。これは、ITリサーチ・アートの、社会における解決策の発見と提案じたいがアートそのものだという提案に呼応してくれたもののように思えます。
また、ファッション法/デザイン法という分野も動き出していますね。
(ファッションの法的保護) Fashion Law Institute Japan

デザイン好きとしては、ランウェイとともに、これらの動きにもフォーカスしていきたいとおもいます。

プロジェクト・リーガル・ランウェイでもできそう。第一回のお題は、「裁判所をデザインしよう」あたりかな。