岡田仁志「リブラ 可能性、脅威、信認」は、サイバーペイメントを語るには必読です

岡田仁志先生から、新著である「リブラ 可能性、脅威、信認」の献本を受けました。ありがとうございます。出版社さんの紹介のページは、こちら。

第1章 リブラが目指すもの
第2章 リブラはブロックチェーンなのか
第3章 変容する貨幣社会
第4章 ビットコイン、リブラ、CBDC
第5章 仮想通貨の仮名性、匿名性、実名性
第6章 リブラ後の世界
という構成になります。

ちなみに、本になった経緯については、こちらです

まずは、きちんとしたアカデミズムの上に、現状におけるサイバーペイメントの動向を一覧している本であって、その分野を語るのであれば、必読の本であるということがいえると思います。
私も、特に、第5章、第6章でお役にたてたようでうれしく思います。

ビットコインやFintechを語る本は、アカデミズムの根拠なく、表面的な流れを追うということになりがちですが、岡田先生の本は、そのようなことはありません。貨幣概念の整理、仮想通貨概念の分析、ブロックチェーンの分析(概念、必然性)など、きちんとした概念/理論の上に議論が構築されています。

カール大帝から、皇朝十二銭、宋銭、元を経て、中央銀行デジタル通貨、Mペサ、カンボジアの中央銀行デジタル通貨まで、歴史と世界の空間を自由自在に飛び回る記述には、知的好奇心が揺さぶられるはずです。

また、その取り扱われるテーマも、上記のような確固とした概念の上に、現代における通貨主権、プライバシーの文脈的理解、暗号資産という用語の限界、ペイメントとプラットフォームという最新の論点が、もれなく、しかも、詳細に検討されています。これらの論点は、どれ一つをとってみても、それこそ、博士号の題材になりうるようなテーマです。

それらの論点についての現代的な研究の最前線に触れるという意味でも、非常に重要な書籍ということがいえるかと思います。

幸いにして、非常に売れ行きが好調なようで、私としてもうれしいです。私の個人的な観点からは、特に、第5章は、プライバシーの文脈的理解という観点からも非常に重要な記述ではないかと思っています。この点については、エントリを改めて議論したいと思います。