米国開示手続における制裁について

(1)制裁の根拠と種類

当事者および代理人は、eディスカバリーに関して、誠実な努力をしなければなりません。しかしながら、それを怠った場合には、制裁が課されることがあります。 理論的には、裁判所固有の権限によるものと連邦民事訴訟規則によるものとがあります。また、態様からみるときに、裁判所は、一定の手法を講じて適正な証拠の保全がなされるようにする場合、また、場合によっては、損壊者に対して不利な判断をなす、という制裁を課す場合があります。

前者においては、開示に対して相手方が、応じない可能性がある場合には、その当事者は、開示を遵守すべきことを求めることになります(FRCP37条による開示の遵守の強制)。FRCP37条(a) Motion for an Order Compelling Disclosure or Discovery.の(1) 一般(In General)は、相手方および関係者への通知に基づいて、当事者は、開示もしくはディスカバリーを強制する命令を申立ることができることを示しています。

命令に応じない場合、連邦訴訟規則に基づく制裁や裁判所の固有の権限に基づく制裁が課せられることがあります。

連邦民事訴訟規則に基づくものとしては

(あ)(費用負担)裁判所は、保全を怠った当事者に対して一部の責任を認め、開示の濫用から必要になった費用の負担を命じることができます(例えば、United States 対Philip Morriss事件)。

(い)(説示)裁判所は、「釈明しがたい行為」であるという説示を行うとか、問題の事実は、証明されたものと指示するということができます(例えば、Zublake事件)。

(う)(事実認定)裁判所は、主張された事実が証明されたものと扱うことができます。

(え)(裁判所侮辱)開示への対応の不十分さを裁判所侮辱として制裁を課すことができます。

(お)(その他)その事実に関する主張については、却下したりすること、開示の命令に従うまで手続を遅らせることができます。

などの制裁を課しています。

また、裁判所固有の権限に基づくものとしても、上記のような制裁を課すことができます。この場合、特に、単純な過失、意図的な行為、害意ある場合かが考慮されて、制裁が課されることになります。

(2)制裁を免れるために

このように制裁の法理が発展しているために、当事者としては、どのようにして、このような厳しい制裁からのがれるようにすべきかという問題に直面することになります。

これらの制裁を免れるためには、

戦略として、

(あ)普段から、法および実務を十分に調査すること

(い)データを破壊し、上書きするポリシを停止すること

(う)裁判所から保存すべき電子的文書の範囲を定めてもらう命令を取得する

などが重要だとされています。